第4話 N-結合型糖鎖とは

 第3回のコラムで「糖鎖」について紹介しました。今回のコラムからは、数回にわたって「糖鎖の種類」について紹介していこうと思います。第3回コラムでもふれたように、糖鎖はタンパク質や脂質に結合した状態、あるいは遊離の状態で存在しています。今回はタンパク質に結合している糖鎖に注目し、N-結合型糖鎖と呼ばれる糖鎖からスタートです。 本題に入る前に、タンパク質について簡単に説明しておきます。

 タンパク質は、20種類のアミノ酸がペプチド結合といわれる結合様式によって連なった構造をしています。ざっくり表現するとアミノ酸が複数結合してペプチドができ、ペプチドが複数結合するとタンパク質になるといった具合です。それでは本題に入っていきましょう。タンパク質を構成するアミノ酸のうち、アスパラギンは側鎖にアミドと呼ばれる構造があります。N-結合型糖鎖とはそのアミド部分にN-アセチルグルコサミン (GlcNAc) がβ結合したものになります(図 1)。


図 1  N-結合型とは

 そのGlcNAc から糖が伸長した結果、図 2 に示すような 3 種のタイプ(高マンノース型、ハイブリッド型、複合型)の N-結合型糖鎖が生成されます。ハイブリッド型はその名前の通り、高マンノースと複合型の混成構造となります。これらの複雑多様なN-結合型糖鎖が血液などの体液中タンパク質や細胞の膜貫通タンパク質に結合することで、様々な生命現象を制御しています。高マンノース型に分類される N-結合型糖鎖は、細胞内タンパク品質管理で重要な役割を果たしています。また、複合型糖鎖が注目される対象としては、抗体(図3)、糖タンパクなどのバイオ医薬品があげられます。バイオ医薬品の糖鎖に関してはまた別のコラムで紹介します。 弊社ではタンパク質に結合した糖鎖、あるいは細胞や組織に存在するN-結合型糖鎖を解析するサービスを提供しています。

図 2 N-結合型糖鎖の分類

 

図 3 抗体に存在するN-結合型糖鎖

 弊社では量分析装置を使用したサービスで、お客様の試料中に含まれる糖鎖構造について、糖鎖プロファイル、内部標準を基準とした糖鎖定量解析データをご提供いたします。また、蛍光ラベル化したN-結合型糖鎖標品など、HPLC、質量分析に使用可能な標品も受託合成にて対応可能です。 まずはお問い合わせフォームより、お気軽にお見積りをご依頼ください。

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

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