前回のコラムから、新たな話題としてムチンを取り扱っています。今回のコラムでは 膜結合型ムチンである MUC1 について紹介します。
前回のコラムで、ムチンはタンデムリピート(一定のアミノ酸配列の繰り返し)構造を有することを紹介しました。MUC1 は下記に示す 20 アミノ酸の繰り返し配列を有し、乳がん、卵巣がん、膵臓がんなど様々ながん種において過剰発現することが報告されています。また、タンデムリピート配列中には5 箇所のO-結合型糖鎖付加部位(赤字 S:セリン、T:スレオニン)が存在します。
MUC1 HGVTSAPDTRPAPGSTAPPA
上記セリン、スレオニンに下記に示すような糖鎖が結合し、高度に O-結合型糖鎖修飾された高分子糖タンパク質構造を形成しています。癌などの疾患においては、糖鎖としては最小の GalNAc (Tn) や、STn、Sialyl T、DiSialyl T などのシアル酸を含む比較的短鎖長の糖鎖が確認されています。
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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析