第 38 話 シアル酸とは ~ポリシアル酸

 第 34 回のコラムからシアル酸を紹介しています。今回も引き続き、シアル酸に関連した話を進めていきます。

 前回までは、糖タンパク質や糖脂質の糖鎖に存在する“モノ”シアル酸について紹介しました。今回のコラムでは、シアル酸が多数連なった“ポリ”シアル酸について紹介します。最も代表的なポリシアル酸は、下図に示すα2→8結合で連なったものです。立体構造としてはヘリックス構造をとります。

 ポリシアル酸は、細菌、昆虫、魚、鳥、ヒトなど様々な生物が保有しています。髄膜炎を引き起こすグラム陰性菌 Neisseria meningitidis は、莢膜多糖としてポリシアル酸を有しています。この細菌において、ポリシアル酸は、免疫細胞に対する抗食作用と抗殺菌活性を発揮することでヒト体内から survive し、本懐(髄膜炎)を達成します。Neisseria meningitidis 以前のコラムでも紹介したように、Heptose や KDO などユニークな糖を含む糖鎖(コア糖鎖)を細胞外膜に持ち、莢膜多糖(ポリシアル酸)はその外側に存在します。髄膜炎菌(血清型B)の莢膜多糖はワクチンの免疫原として利用されていましたが、免疫原性が低いことが明らかになっています。哺乳類では、ポリシアル酸は脳中の神経細胞接着分子NCAM 上、海馬などで発現し、神経突起の伸長、神経回路の形成などに寄与しています。ポリシアル酸は、カルボン酸に起因する負電荷を大量に持った分子であることとその立体構造特性により、細胞接着を阻害するユニークな性質を有しています。

 

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

 

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