今回から数回にわたり、シアル酸について様々な角度から焦点を当てていこうと思います。シアル酸とは、炭素 9 個からなり、アミノ基とカルボン酸(酸性部分)を有するノイラミン酸の修飾体(アミノ基など置換)の総称です。シアル酸の代表的な構造である N-アセチルノイラミン酸を下図(α体)に示します。カルボン酸を有し、3位がデオキシ構造、5位のアミノ基がアセチル修飾、7~9 位に水酸基を有する非常にユニークな構造です。その他のシアル酸としては、N-グリコリルノイラミン酸、デアミノノイラミン酸などが含まれます。
シアル酸は、生体内のタンパク質、脂質などに結合している糖鎖の非還元末端に存在し、多岐生物種において様々な生体反応に関与しています。次回以降、シアル酸について有機合成、生物化学など様々な視点で紹介していきます。
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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析