今回から数回にわたり、糖転移酵素の繰り返し利用について紹介したいと思います。以前のコラムでも紹介しましたが、糖転移酵素は基質となる糖受容体と糖供与体とを作用させることで、立体選択的かつ位置特異的なプロダクトを得ることができます。糖鎖の化学合成法において、困難を伴う反応の場合、糖転移酵素による糖鎖合成は強力なツールとなっています。
糖転移酵素は糖鎖合成において有用なツールですが、その調製には労力を要します。(化学合成法では合成時に、糖転移酵素では合成前に、労力を要します。)糖転移酵素(タンパク質)を利用するためには、事前に、クローニング、発現宿主への形質転換、タンパク発現、タンパク精製、活性測定、その後に反応をかける、という流れがあります。この工程は実験手技に慣れていれば容易ですが、そうでない場合は非常に時間がかかります。そのため、糖転移酵素の繰り返し利用ができるのであれば、労力、コストの面からも効果的であり、糖転移酵素利用のハードルが下がります。
次回からのコラムでは、糖転移酵素を繰り返し利用するための方法について、紹介していきたいと思います。
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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析