第 34 回のコラムからシアル酸を紹介しています。今回のコラムでも引き続きシアル酸に関するお話をします。
前回までは、糖タンパク質や糖脂質の糖鎖に存在する“モノ”シアル酸や、シアル酸が多数連なった“ポリ”シアル酸について紹介しました。今回のコラムでは、シアル酸の生合成について紹介します。
下図にシアル酸の生合成について示します(Biochemistry, 2001, 40, 12864)。ManNAc には、GlcNAc からエピメラーゼで 2 位の N-アセチル基が立体反転することで作られるパターンと、細胞が取り込むパターンがあります。この ManNAc の 6 位が、リン酸化、Sialic acid-9-P synthase、Sialic acid-9-P phosphatase の作用を受けることで、 9 炭素からなるシアル酸が生み出されます。9 炭素骨格から作られるのではなく、一見全く骨格の異なるGlcNAc、ManNAc から作られていることに、生合成の凄さを感じます。そして、細胞外から取り込んだ ManNAc を使い、シアル酸が作られる経路を巧みに利用した、糖鎖標識法も開発されています。
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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析