前回のコラムから、シアル酸をテーマに取り上げています。今回は、シアル酸の構造について話を進めていきたいと思います。
前回でも記載したように、シアル酸とは炭素 9 個からなり、アミノ基とカルボン酸(酸性部分)を有するノイラミン酸の修飾体(アミノ基など置換含む)の総称です。下図に代表的なシアル酸を示します。
5 位アミノ基の修飾のされ方によって、アセチル修飾されたシアル酸はN-アセチルノイラミン酸 (Neu5Ac)、グリコリル修飾されたシアル酸は N-グリコリルノイラミン酸 (Neu5Gc)、水酸基に置換されたシアル酸はデアミノノイラミン酸(3-deoxy-D–glycero–D-galacto-2-nonulopyranosonic acid; KDN) と呼ばれています。これらのシアル酸は、N-結合型糖鎖、O-結合型糖鎖、糖脂質などの糖鎖末端(非還元末端)に存在し、様々な生体反応に関与しています。
なかでも、N-アセチルノイラミン酸は、様々な生物種に存在し、最もメジャーなシアル酸と言っても過言ではありません。そのため、生物学的研究、有機合成化学的研究の両分野において最も研究されているシアル酸となっています。その内容については今後のコラムで紹介する予定です。
N-グリコリルノイラミン酸は、ヒトには微量しか存在せず(正常組織では存在しない)、ブタ、ラットなどの哺乳動物に存在します。また、ヒトには主要なシアル酸ではないため、ヒト免疫系においては異物として認識され、免疫応答(抗体産生)が生じます。
デアミノノイラミン酸は、ニジマスの未受精卵から発見され、哺乳類には存在しないシアル酸です。
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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析