第 26 話 O-結合型糖鎖を解析する  ~タンパク質から切り出した O-結合型糖鎖の質量分析

 前回のコラムで、タンパク質から O-結合型糖鎖を切り出す方法について紹介しました。タンパク質から O-結合型糖鎖を切り出すには、現在のところ、化学的な方法しか選択肢がありません。近年では、化学的な方法である程度副反応を抑えつつ、糖鎖を切り出すことができるようになっています。今回のコラムでは、このような方法によって切り出されたO-結合型糖鎖の質量分析を用いた解析について紹介します。

 切り出された O-結合型糖鎖を質量分析装置で解析する場合は、第22話(MALDI)、第23話(LC-MS)の N-結合型糖鎖解析で紹介した方法と同様に、アノマー位をラベル化する必要があります(下図 2-AA, 2-AB)。ラベル化する手法自体は、N-結合型糖鎖、O-結合型糖鎖で特に違いはありません。両糖鎖ともに、アノマー位の遊離水酸基をラベル化します。ラベル化した O-結合型糖鎖を質量分析装置(eg. MALDI, LC-MS)で測定すれば、組成(eg. HexNAc2, Hex2)を明らかにすることができます。

 O-結合型糖鎖を「糖鎖」として解析するには特に問題は起きません。しかし、O-結合型糖鎖が結合した「糖ペプチド、糖タンパク」として解析するのには注意が必要です。次回コラムでは、O-結合型糖鎖が結合した糖ペプチド(糖タンパク)の解析について紹介したいと思います。

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

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