第9話 実験室で糖鎖を作る ~酵素法

 糖鎖を作る代表的な方法には、 ① 化学合成法 ② 酵素法 ③ 化学酵素法 の 3 つがあります。 前回の第 8 回糖鎖コラム「実験室で糖鎖を作る ~化学合成法」で「①化学合成法」による糖鎖合成についてご紹介しました。 今回は、「② 酵素法」についてご紹介いたします。  

 糖鎖合成に使用する酵素は、糖転移酵素(糖をつける)と糖加水分解酵素(糖を切る)です。「第 6 回 糖鎖コラム」でもご紹介しましたが、糖転移酵素は特定の受容体と供与体を認識して糖転移反応を触媒し(下図)、糖分解酵素は特定の基質を分解(切断)する反応を触媒します。すなわち“基質特異性”という構造認識のもとに糖転移、分解を行います。また、一般的に酵素反応は水溶(緩衝)液温和な条件下で行われることから、不安的な物性を持つ化合物に対しても反応を実施することが可能です。

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以上のことから、「② 酵素法」では、酵素反応の基質となりうる構造を持った物質をデザインしさえすれば、誰が反応を行っても目的物を得ることができます。誰が実施しても同じものが同じ収量で得られるということは、再現性、あるいはコストの面から言っても、非常に重要なことです。そして、糖転移酵素による糖鎖合成では、酵素の特性に従った立体(α、β結合)を100%担保することもできます。一方、化学法による糖鎖合成では、技術者の熟練度によって、全く同じ試薬、反応条件、基質を使用しても収率、立体選択性を同等に保つことはかなり厳しいのが現状です。

 

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

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