第 23 話 N-結合型糖鎖を解析する ~LC-MS を使用した糖鎖解析

 第 4 話のコラムでN-結合型糖鎖を紹介し、第21話コラムから「N-結合型糖鎖を解析する」という内容をスタートさせています。糖鎖のプロファイルを知るために、試料からの糖鎖切り出し、精製やラベル化などの前処理、質量分析、データ解析、を実施します。前回のコラムでは MALDI-TOF MS 装置を使用したプロファイル解析を紹介しました。今回のコラムでは、LC-MS装置を使用したタンパク質のN-結合型糖鎖解析を紹介します。

 前回のコラムにてタンパク質から糖鎖を切り出して、ラベル化する工程について簡単にふれました。LC-MS でN-結合型糖鎖を解析する場合においても、操作工程は基本的に同じです。LC-MSを使用する場合には、ラベル化剤の選択に配慮する必要があります。

 

糖鎖解析で使用されるラベル化剤は、BOA、PA、2-AA、2-AB などがあります(下図に 2-AA、2-AB の構造を示します)。ヒドラジド、アミノオキシ、アミンなどの官能基を有し、糖(糖鎖)のアルデヒド基と結合します。アミンをアルデヒドと反応させるタイプのラベル化剤は、最終的に還元反応を経るため結合が不可逆(安定)となります。よって、LC-MS ではLC (HPLC, UPLC) を使用することから、不可逆タイプのラベル化剤を選択する必要があります。

 

 

 LC-MS を使用する場合、MALDI-TOF MS では難しい定量解析を実施することが可能となります(MALDI-TOF MS では内部標準物質基準での定量)。現在、2-AB、PA ラベル化された N-結合型糖鎖標品は市販されており、想定される糖鎖はほぼ入手可能な状況となっています。これら標品を使用し、保持時間の情報、検量線についてデータがあれば、N-結合型糖鎖のプロファイル、定量解析を一斉分析で達成することが可能です。解析をしようとしているサンプルに関して、糖鎖情報、手持ち標品などが無い状況下でLCMSを使用する試験を実施するとなると、前段の準備が相当必要になります。MALDI-TOF MS などで取りあえず糖鎖のプロファイルを確認し、LCMSを実施するか否かの判断をすることも、状況によってはあります。LCMS では一度系を組むことができれば、労力無く、最大限の情報を得ることができるため、非常に強力なツールとなります。

 

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

 

 

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