第 19 話 細菌の糖鎖 ~グラム陽性菌

 細菌の糖鎖について、第15話序論から始まり、第 16~18 話ではグラム陰性菌について紹介しました。今回のコラムではグラム陽性菌について紹介します。

 いきなりですがグラム陽性菌は、グラム陰性菌で見られるような糖“鎖”を持っていません。グラム陽性菌の菌体表面の構造概略図を図 1 に示します。その構造は、大きく分けて細胞内膜、ペプチドグリカン層から構成されています。グラム陽性菌では、グラム陰性菌と比較すると外膜を持たず、非常に厚いペプチドグリカン層を有しています。第 16 話のコラムでもふれましたが、グラム陽性菌はその名称通りグラム染色に良く染まる(=染色剤のクリスタルバイオレットが残存する)ことからその名がついています。

171031_グラム陽性菌

                   図 1

 ぺプチドグリカンとは下記の図 2 に示す、GlcNAc (N-アセチルグルコサミン) と MurNAc (N-アセチルムラミン酸) の 2 糖繰り返し構造と 4 ~ 5 残基からなるペプチド、そのペプチド中 Lys 側鎖に結合したペンタグリシン (Gly5)が次のユニットと架橋することで巨大な構造を形成しています。

19_peptidoglycan

                   図 2

 グラム陽性菌には、Streptococcus 属、Clostridium 属、Bacillus 属などの細菌の属が含まれ、重篤な疾患を引き起こす菌も知られています。今回のコラムの初めに、グラム陽性菌はグラム陰性菌のような糖鎖を持たないと言いましたが、グラム陽性菌の中でも一部ユニークな糖鎖を持つものがあります。次回コラムでは、ユニークな糖鎖を持つグラム陽性菌について紹介したいと思います。

 

 弊社では、熟練した技術と豊富な経験、知識を持った研究員による受託解析サービス合成サービスを実施しております。熟練した技術に基づく分析サンプル調製、HPLC質量分析NMR などの機器を駆使することで、種々の目的に応じた解析に対応しています。受託合成においては、蓄積した各種知見、ノウハウなどを駆使し様々なターゲットの合成実績がございます。まずはお気軽に御相談ください。ご予算に応じてベストなご提案をさせていただきます。

02

 

筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

お問い合わせから受託までの流れ

ホームぺージからの
お問い合わせはこちら

  • 高親和性抗体作製受託
  • 質量分析装置を用いた糖鎖解析
  • 試薬販売
  • NMRを用いた糖鎖解析
  • 糖誘導体合成と糖鎖合成
  • 抗体関連製品