第 14 話 糖鎖、複合糖質の自動合成 ~酵素法を基盤とした自動合成 (2)

 前々回のコラムから数回にわたり「糖鎖の自動合成」について取り扱っていきます。今回のコラムでは、糖転移酵素を利用した自動合成装置について紹介します。

 前回のコラムで酵素法を基盤とした自動合成では、精製がポイントとなることをふれました。酵素反応では、高分子側から糖転移酵素、糖鎖誘導体、糖供与体、緩衝液、金属などが使用されます。糖転移酵素は他の分子と比較して圧倒的に大きな分子であり、限外ろ過膜などを使用した精製では膜内に残ってしまいます。そこで合成したい糖鎖を膜内に残し、糖供与体分子以下を膜外に除去、糖転移酵素を〝無いものとして“扱えれば自動合成は可能となります。北海道大学から発表されている糖鎖自動合成装置はこの点を見事にクリアしています。下図に通常、自動合成装置での糖転移反応の分子サイズの概略を示します。

糖鎖コラム14-2

糖鎖を膜内に残す=高分子化すればOKとなります。高分子化する担体としてデンドリマーを利用することで、高分子化するだけでなく分子を外側一方に配置(配向制御)するという利点を獲得しています。すなわち、分子を外側に配向制御することで糖転移酵素の基質として認識されやすくなり、効率的に糖転移反応が起きることとなります。また、糖鎖とデンドリマーを接続する分子であるリンカーに、特殊な条件で切断できることできる機能を付与させています。糖転移酵素を〝無いもの“にする方法としては、固定化酵素を採用しています。酵素を樹脂上に固定化すれば、液相(酵素反応液)への拡散がなくなり分離が容易となります。固定化するメリットとしてもう一つ重要なことがあります、それは固相化することによって酵素を繰り返し使用することができるようになります。失活しにくい酵素であれば相当数の反応を一度調製した固定化酵素によって何度も使用が可能となります。糖転移酵素は遺伝子構築、アミノ酸配列の最適化、タンパク質発現用宿主の選定、発現タンパクの精製ルートの策定などかなりの労力、時間、費用が必要です。苦労して調製した酵素が一度の反応で無くなってしまうと何度も酵素を調製する必要となり、自動合成装置への利用は現実的ではありません(酵素固定化については別コラムで紹介します)。上記の糖鎖高分子化、酵素固定化という要素技術を確立した結果、目的物まで到達した糖鎖誘導体(最終段階)をデンドリマーから切り離し、限外ろ過膜から溶出した目的物を回収することが可能となっています。

 

弊社では、熟練した技術と豊富な経験、知識を持った研究員による受託合成サービスを実施しております。化学法と酵素法を組み合わせることで、どのような糖鎖でも最適なルートを策定し、低コストかつ高品質の糖鎖を合成いたします。単糖誘導体、糖鎖、糖ペプチドなど様々な糖関連物質の合成に対応していますので、まずはお気軽に御相談ください。ご予算に応じてベストなご提案をさせていただきます。

 

筆者プロフィール

naruken 

博士(理学)北海道大学大学院理学研究科

専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

 

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  • 試薬販売
  • 質量分析装置を用いた糖鎖解析
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