第2話 糖鎖を構成する糖

 グルコースを例に、糖の化学構造をHaworth 表示、コンフォメーション表示、で描くと図1に示すようになります。

図1 グルコースの構造 

 6 員環(グルコースなど)、あるいは 5 員環(DNAのリボースなど)を形成する炭素のうち、1つが酸素に置き換わり、水酸基(OH基)を多数含有する物質です。糖の環を形成する炭素は、図 1 に示すように、1、2、3、・・のようにナンバリングすることができます。炭素 1 に結合した水酸基を 1 位水酸基、炭素 2 に結合した水酸基を 2 位水酸基などと呼びます。また、1 位水酸基はアノマー位と呼ばれることもあります。1 位水酸基の線だけ波線で描いていますが、これは構造が決まっていないことを示しています。この 1 位水酸基は次の糖鎖と結合する水酸基であり、図 2 のようにα結合、β結合と記載があってはじめて結合を直線で描くことができるのです。

図2 結合様式の名称

 それでは、糖にはどのような種類のものがあるのか紹介していきます。大ざっぱに分類すると、ヘキソース (Hex)、N-アセチルヘキソサミン (HexNAc)、ヘキソサミン (HexN)、デオキシヘキソース (dHex)、その他、のように分けられます。どのような糖があるのか、一部ではありますが図 3 に紹介します。

図3 様々な糖

 

図4 グルコースとガラクトースの違い

 グルコースとガラクトースの違いは4位水酸基の向き(配向)が違うだけで、残りの水酸基は全て同じ構造になります(図 4)。一見するとわずかな構造の違いですが、そのわずかな違いが重要です。これらの糖は、ヒト、動物、昆虫などの細胞やタンパク質の表面を覆う糖鎖の1部を構成するだけでなく、カニなどの甲羅やキノコに含まれるキチン、植物の細胞壁成分であるセルロースなどの1部でもあり、動植物全般において重要な役割を果たしています。糖1分子では機能がなくても、糖鎖を形成することで機能を発現、獲得するとも言えます。糖鎖については第3話で記載を予定しています。

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筆者プロフィール
naruken
博士(理学)北海道大学大学院理学研究科
専門:糖鎖工学、タンパク質工学、構造解析

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